7.Medusa


◆ 2001年 「メドゥーサ」3D・H20cm×W23.5cm×D11.5cm
 
【 Mythology 】
 
日本の神話では、スサノオが、八岐大蛇(ヤマタノオロチ)を退治する。
ヤシオリの酒を飲ませて、眠らせて、首を切り落とす(ヤシオリ作戦)。
その後。八岐大蛇の尻尾の中から、三種の神器の「草薙剣」が出てくる。
 
ギリシャ神話では、ペルセウスが、魔物「蛇女ゴルゴン」を退治する。
ペルセウスは、切り落としたゴルゴンの首で、怪物クラーケンを退治する。
怪物クラーケンは、海からの災害「大津波」の比喩だとされている。
 
蛇女ゴルゴンも、八岐大蛇も、彗星大接近の比喩だとされる説がある。
首を切り落とすのは、彗星の分裂であり、尻尾は、隕石の落下の比喩である。
隕石は、隕鉄をもたらし、草薙剣は、鉄器文化の始まりを象徴している。
 
同一視されるゴルゴンとメドゥーサだが、元々は別々の魔女と女神である。
メドゥーサさは、ギリシャ文明に侵略される前の、土着信仰の女神であった。
豊穣の女神であったメドゥーサは、ギリシャ神話のデメテルに置き換えれる。
侵略された地域で信仰されていた神話は改竄され、神は魔物に変えられる。
 
日本の神道では「アマテラス」が、大地の豊穣の女神とされている。
大地の豊穣を司る女神は、地母神(国生みの神)「イザナミ」が祖である。
地母神は、太母神(太母)であり、女系(母系)の女神が受け継いでいく。
ギリシャ神話の地母神(大地)は「ガイア」であり、グレートマザーだ。
 
グレートマザー(地母神)の典型例は、ケルト神話の「ダヌ」である。
生命の源であり、火、竈、命、歌の生みの神であり、神々の元祖である。
母なる神は、豊穣の女神、戦いと破壊の女神の、両方の性格で定義される。
生命を産み、奪う性質が日本神話のイザナミと同様、一般的な要件となる。
 
メドゥーサの目には魔力があり、見てしまった者は、石に変えられる。
切り落とされた首から滴り落ちた血を、ペルセウスは二つの瓶に集める。
右側の血管から流れて右の瓶に入った血には、死者を蘇らせる力がある。
左側の血管から流れて左の瓶に入った血には、人体を破壊する力がある。
ラテン語の「sinister(左)」には、「悪魔的・魔女的」の意味がある。
そして「dexter(右)」には、「手先が器用な・利口な」の意味がある。
 
アンドロメダ姫とアマテラスは似ている。
ペルセウスとスサノオも、メドゥーサとツクヨミも、よく当て嵌まる。
アンドロメダは、人間ではなく、元々は女神の名であったと考えられる。
 
神話では、イザナギの左目から、アマテラスが生まれたとされている。
右目から、ツクヨミが、鼻からは、スサノオが生まれたとされている。
アマテラスとツクヨミは、左と右の目であり、太陽と月の意味がある。
天空で、太陽と月が重なると、皆既日蝕になり「天の岩戸」になる。
 

◆ 1999年「窟戸」・608mm×1165mm